XcodeでiOSアプリの実行時に任意のコードを挿入する

よりアップデートしたツールを作りました

http://addsict.hatenablog.com/entry/2014/02/21/214500

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XcodeiOSアプリのデバッグ中に、

「あのコードを追加するの忘れてた!」
「ここに変数のインクリメントが必要だ!」

など、実行後に必要なコードが足りてないことに気付くことありませんか?

そこで、アプリの実行時に任意のObjective-Cコードを実行バイナリに擬似的に追加できるツールを作りました。

addsict/iOSRuntimePreview

iOS Runtime Preview from Yuuki Furuyama on Vimeo.

使い方

  1. ツールをダウンロードします。

    $ git clone https://github.com/addsict/inscode.git

  2. XcodeiOSアプリを実行します。シミュレータでも実機でもokです。

    img1

  3. 任意のタイミングでデバッグエリアのポーズボタンを押して実行を一時停止します。

    img2

  4. 本ツールのスクリプトinscode.pyデバッグエリアからLLDBのセッションにロードします。これで準備完了です。

    img3

  5. inscodeコマンドをデバッグエリアで実行し、挿入したいコードを指定します。挿入されたコードはすぐに有効になります。

    コマンドのフォーマット:
    inscode <ファイル名>:<行番号> '<挿入したいObjective-Cコード>'

    img4

このツールはアプリ自体にプラグインとして組み込む必要がないので、手軽に使えると思います。 是非試してみてください。

アプリのランキングをリアルタイムにGoogle Spreadsheetにレポートする

AppStoreのアプリのランキングをGoogle SpreadsheetにリアルタイムにレポートするGoogle Apps Scriptを書きました。

addsict/AppStoreRankingReport

f:id:furuyamayuuki:20140215130412p:plain

グラフも設定しておけば随時更新されるので、アプリリリース直後におすすめです。 Google Spreadsheetは簡単にメンバーと共有できるので便利ですね。

Mac OS X上でのv8のビルド時のリンクエラー

どのバージョンからかわかりませんが、v8をOS X上でドキュメントに書いてあるようにビルドするとコケます。 具体的には以下のようにビルドすると、

g++ -Iinclude hello_world.cc -o hello_world out/{architecture}/libv8_{base,snapshot}.a -lpthread

リンクで失敗します。

ld: symbol(s) not found for architecture x86_64

これはlibv8_base.alibv8_snapshot.a以外にもlibicudata.a, libicui18n.a, libicuuc.aなどのライブラリが必要だからです。

なのでそれらも全て一緒にビルドすればokです。

g++ -Iinclude hello_world.cc -o hello_world out/{architecture}/*.a -lpthread

もしくはスタティックライブラリのビルド時にi18nsupport=offにしておけば、libv8_base.alibv8_snapshot.aだけで問題なくビルドできます。

make x64.debug -j4 console=readline i18nsupport=off

ハマってしまったので共有。

類似しているGitHub Issue発見ツール Refissue を作りました

GitHubのIssueは便利ですが、複数人で利用しているとどうしても似たようなIssueが登録されてしまうことがあります。 そこで、類似しているIssueを自動的に検出してくれるRefissueというツールを作りました。

https://github.com/addsict/refissue

このツールを動かしておくと、Issueが登録された時に過去のIssueの中から似たようなIssueを探しだし、下の写真のようにコメントとして残してくれます。

img

本当に同一の内容の場合、登録したIssueをcloseするなり、まとめるなりしてIssueの重複を防げますね。

肝心の類似判定ですが、今はIssueのタイトルと本文を形態素解析したものの中からキーワードとなる形態素のみ抽出し、コサイン類似度法でIssue間の類似度を求めています。

類似判定の精度がまだまだイマイチな所はありますが、是非使ってみてください。

git-add, git-commitを使わずにコミットする方法

cf.) Git Internals - Git Objects

  1. blobオブジェクトを作る
  2. treeオブジェクトを作る
  3. commitオブジェクトを作る

blobオブジェクトを作る

$ echo 'hello world' > test
$ git hash-object -w test
# 3b18e512dba79e4c8300dd08aeb37f8e728b8dad

treeオブジェクトを作る

$ printf "100644 blob 3b18e512dba79e4c8300dd08aeb37f8e728b8dad\ttest" | git mktree
# 5b873f747ccb268e4491f289eb37fc675ff5825b

もしくは

$ git write-tree
# 5b873f747ccb268e4491f289eb37fc675ff5825b

commitオブジェクトを作る

$ echo "first commit" | git commit-tree 5b873f747ccb268e4491f289eb37fc675ff5825b
# 6684f9fdfbdd60db2ba2851c97aa08aa76ad9487
$ git log 6684f9fdfbdd60db2ba2851c97aa08aa76ad9487

無限スクロール出来るiOS用のカレンダーUIを作りました

HIScrollCalendarという無限スクロールが出来るiOS用のカレンダーUIを作りました。

f:id:furuyamayuuki:20131028192935p:plain

もともとは個人的に作っていたアプリに使っていたものですが、そのアプリは日の目を見ずに終わってしまったのでカレンダーの部分をOSSとして公開することにしました。

インストール

CocoaPodsを使っている方はPodfileに指定して下さい。

pod 'HIScrollCalendar', :git => 'https://github.com/addsict/HIScrollCalendar.git'

アプリへの組み込み方

ヘッダ "HIScrollCalendarView.h" を読み込み、HIScrollCalendarViewオブジェクトを作るだけで使えます。 ユーザがタップしたカレンダーの日付は - scrollCalendarView:dateDidChange: というデリゲートメソッドで取得可能です。

#import "HIScrollCalendarView.h"

@interface ViewController : UIViewController <HIScrollCalendarViewDelegate> {
}
@end

@implementation ViewController
- (void)viewDidLoad
{
    [super viewDidLoad];

    HIScrollCalendarView *calendarView = [[HIScrollCalendarView alloc] init];
    calendarView.delegate = self;
    [self.view addSubview:calendarView];
}

- (void)scrollCalendarView:(HIScrollCalendarView *)scrollCalendarView dateDidChange:(NSDateComponents *)dateComponent
{
    NSString *date = [NSString stringWithFormat:@"%d/%d/%d", dateComponent.year, dateComponent.month, dateComponent.day];
    NSLog(@"%@", date); // 2013/10/28
}
@end

さいごに

カレンダーUIで使用している各種フォントや配色は全くconfigurableな作りになっていないので、その辺今後直していけたらなと思ってます。このカレンダーUI自体を取り込まなくても、無限スクロール実装の参考にでもしてもらえれば嬉しいです。

機能要望・バグ報告はこちらまで!
https://github.com/addsict/HIScrollCalendar

Google BigQueryのPythonライブラリbqlibを作りました

Google BigQueryをPythonから扱うbqlibというモジュールを作りました。
BigQueryとは簡単に説明すると、テラバイト級のデータセットに対してSQLを使って様々なメトリクスを分析できるサービスです。
競合にはAmazonのRedshiftやTreasureDataなどがあります。

BigQueryのPythonクライアントはGoogle社が提供しているbigquery_client.pyが既にありますが、 プリミティブな操作の集合のようなライブラリとなっており実際に使おうとすると手順が多いので、今回そのモジュールのラッパーライブラリとして簡単に扱えるものを作りました。

インストール

pipやeasy_installで入ります。依存しているbigquery_client.pyなども一緒に入ります。

$ pip install bqlib

使い方

実際にbigquery_client.pyと比較しながら使い方を説明します。

同期型クエリ

最初に同期型クエリを見てみます。
同期型クエリはクエリを開始してから実行完了までブロックされます。

(bigquery_client.pyの場合)

client = BigqueryClient(api='bigquery',
                        api_version='2.0',
                        project_id='my_project',
                        credentials=credentials)
job = client.RunQuery(query='SELECT date, profit FROM sales') # クエリ開始->クエリ実行完了までブロック
fields, rows = client.ReadSchemaAndRows(job['configuration']['query']['destinationTable']) # 結果の取得
print rows # [['2013-10-25','12300'], ['2013-10-26','9340'], ...]

最終的にrowsがクエリの結果になります。

(bqlibの場合)

bqjob = BQJob(authorized_http,
              'my_project', 
              query='SELECT date, profit FROM sales')
job_result = bqjob.run_sync() # クエリ開始->結果の取得
print job_result # [{u'date': '2013-10-25', u'profit': 12300}, {u'date': '2013-10-26', u'profit': 9340}, ...]

bqlibを使うと記述が簡単になるだけでなく、結果セットのスキーマのフィールド型から自動的にPythonに対応する型に変換してクエリの結果を返してくれるのでプログラムから扱いやすくなります。(例:'profit'フィールドはINTEGER型なので数値に変換される)

非同期型クエリ

非同期型クエリはクエリを開始した直後に制御が呼び出しプログラムに戻り、任意のタイミングで結果を取りにいくパターンです。

(bigquery_client.pyの場合)

client = BigqueryClient(api='bigquery',
                        api_version='2.0',
                        project_id='my_project',
                        credentials=credentials)
job_id = client.Query('SELECT date, profit FROM sales') # 非同期クエリ実行。すぐに制御が戻る

#### do something ####

job_reference = client.GetJobReference(job_id)
job = client.WaitJob(job_reference=job_reference) # クエリ完了待ち
fields, rows = client.ReadSchemaAndRows(job['configuration']['query']['destinationTable']) # 結果の取得
print rows # [['2013-10-25','12300'], ['2013-10-26','9340'], ...]

んー、これは結構めんどくさいですね...。

bqlibで書くと非同期型もすっきり書けます。

(bqlibの場合)

bqjob = BQJob(authorized_http,
              'my_project', 
              query='SELECT date, profit FROM sales')
bqjob.run_async() # 非同期クエリ実行。すぐに制御が戻る

#### do something ####

job_result = bqjob.get_result() # 結果の取得
print job_result # [{u'date': '2013-10-25', u'profit': 12300}, {u'date': '2013-10-26', u'profit': 9340}, ...]

基本、run_syncでクエリを実行していた部分がrun_asyncに変わるだけです。

複数クエリの並列実行

ここからはbqlib独自の機能になります。
bigquery_client.pyを使って複数クエリを連続して実行しようとすると、上記の非同期型クエリをクエリ数分だけ書き、それぞれ実行し、1つ1つ実行結果を得る必要があります。
bqlibのBQJobGroupを使えば複数クエリをまとめて並列に実行可能です。

bqjob1 = BQJob(authorized_http,
               'my_project', 
               query='SELECT date, profit FROM sales')
bqjob2 = BQJob(authorized_http,
               'my_project', 
               query='SELECT age FROM customer')

# 実行したいjobをグループとしてまとめる
job_group = BQJobGroup([bqjob1, bqjob2])

# 同期型クエリ
results = job_group.run_sync()

# もしくは非同期に
job_group.run_async()
results = job_group.get_results()

print results # [[{u'date': '2013-10-25', u'profit': 12300}], [{u'age': 23}]]

自動リトライ機能

bqlibが提供するクエリ関数は全てエラーが起きた時に自動でリトライするようになっています。
ただし現時点ではBigQuery側のサーバサイドのエラー以外でも(但しデータセットやテーブルが存在しないエラーを除く)勝手にリトライしてしまうのでこの辺は改善の余地があります。

Discovery Documentの自動キャッシュ

BigQueryのAPIを叩くためにはGoogleAPI Discovery Serviceを使用してBigQueryのAPI仕様が記述されたDiscovery Documentをダウンロードしてくる必要があります(但しbigquery_client.py v2.0.17からは何も指定しなければモジュールにビルトインされているものが使われるようになりました)。 このダウンロードされたDiscovery Documentは、ユーザがbqlibをGoogle App Engineで使用している場合memcachedに自動でキャッシュされるようになっています。

さいごに

以上bigquery_client.pyと比較しつつざっとbqlibの使い方をまとめてみました。
結局のところラッパーライブラリなので元のクライアントライブラリの変更をもろに受けてしまうのが辛いとこですが、まだまだ基本機能しかないので独自機能を入れて今後も拡張していきたいと思ってます。

要望・バグ報告はこちらまで!
https://github.com/addsict/bqlib